あきらめないこと、それが冒険だ―エベレストに登るのも冒険、ゴミ拾いも冒険! (ヒューマン・ノンフィクション)

あきらめないこと、それが冒険だ―エベレストに登るのも冒険、ゴミ拾いも冒険! (ヒューマン・ノンフィクション) の詳細

本書は、率直な物言ひといふか、正直な自分の言葉が綴られてゐて本当に共感されて来てスッと読めてしまひました。野口健さんの本は今までに何冊も読ませて貰ひましたが、嘘のない誠実な人柄を感じて来ました。今回は、野口健さんの小さい時から現在に至るまでの人生の経緯がよく分かりました。イギリスで落ちこぼれて暴力事件を起こしてしまって日本で三十日間の謹慎生活が彼の人生を蘇らせたのだと感じました。お父さんも偉かったと思ひます。エリートとして建前の虚栄心ではなく、本当の愛情で息子を日本の中を動き廻らせたのは素晴しかったです。京都、奈良を経、巡って日本人としてのアイデンティティーを再確認出来たのでありませう。そして、大阪の本屋で運命のやうな植村直己の本に出会ったのであります。それが、登山家としての人生を始めさせたのです。そこからの歩みは、見事な自己恢復であり、自らの人生を歩み始めたのであります。その歩みは、清掃登山、環境学校へと結実します。今回、野口健さんの生きた人生のバックボーンを辿るノンフィクションのドラマに熱い共感を感じた読書のひとときが得られたと思ひます。更なる野口健さんの飛翔を心から祈念したく思ひます。